兼備鏡

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摩訶不思議な珍品を揃えているという路地裏の雑貨店に行ったときのことだ。
店内を見渡せば数多くの品々が所狭しと陳列されていた。どれもここでしか手に入らない限定品だ。
すると、その中に明らかに場違いと思われる顕微鏡が置かれていた。
「これ、理科の実験でよく使う顕微鏡ですよね?」
鷲鼻が特徴的な魔女に似た店主に尋ねてみた。
「いいえ、これは漢字で『兼備鏡』って書くの。優れた才能と美しい容姿の両方を持ったひとを『才色兼備』っていうでしょ。そういうひとになりたければ、自分のDNAを兼備鏡で見ればいいのよ」
一本の毛髪を抜き、兼備鏡で覗いてみると二重らせん構造のDNAが見えた。
すると、DNAがぐるぐると回転を始め、その途端、脳内に電気が走り、身体が生き生きとしてきた。
「実は『健美鏡』とも書くの。医療の現場で使われたことがあって、不治の病から生還後、健やかに美しく過ごされている患者さんもいるそうよ」
SF
公開:21/01/31 07:09
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山田衆三( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育ち、大学時代は京都(御所の近く)、大学院時代は湘南(海ではなく山側)で過ごす。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年06月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。

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