痛みの中で咲く花よ。

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雪に埋もれてしまうんじゃないかと思っていた。
降り積もる悲しさに、虚しさに、やるせなさに押し潰されてしまうと。
抵抗しようと思えば思うほど、足はすくみ動けなくなる。
あぁ、痛い。
足先から次第に感覚は失われてゆき、全てがどうでも良くなるような痛さだった。
私が私であることを辞めてしまえば、赤子が眠るように息を止められる。
まるでそうすることが自然であるように。
何度も私の瞳は焦点を失い、視界は雲がかった。
このまま意識を手放して、暗闇の中で美しく散りたかった。
可能性と名のついた、手の中に残る種をあの真っ白な雪へばら撒きたかった。


でも。

微かに燃ゆる憧れが、そうはさせてくれなかった。
終わらないと思える吹雪の中でなお、この種を咲かせたいと訴えてくる。

大輪の花を、咲かせたいと。
その他
公開:21/01/30 23:33
決意

こひま( 新潟県 )

文章を書くこと、絵を描くこと、写真を撮ることが趣味です。
浮かんだものを、浮かんだように書きます。
様々な色を持つ作品を綴れたら、と思っています。
 

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