もう一度、青春を。

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花に想いを重ねたのは、あのひと。
私に絡みつく細い腕が白くて、繊細で、私に無いものを沢山持っていた。
私の似合わない赤色で唇を染めて、長いまつ毛を羽ばたかせていた。
ゆるり、と巻かれた黒髪は胸くらいまで伸びていて、彼女がそれを高く結う姿はくらくらするほど美しかった。
ぷかぷかと煙草をふかすその背中は、夜の街に迷い込んだ猫のように丸まっていることが多かった。
狭い6畳、ワンルーム。
彼女と絡み合う日々は、私の青春そのもの。
高校を卒業した私は、彼女が残る町を後にし、アスファルトが覆う街へ飛び出した。
彼女のことは、限りなく透明になっていた。

のに。

「相変わらず帰りが遅いのね。」

短く切りそろえられた髪とはね上げられたアイライン。
大きな揺れる金色のピアスを付けて、彼女は私の家の前に座っていた。

「今度は私が家に泊めてもらう番でしょう?」

彼女は、いつか来ると思っていた。
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公開:21/01/30 22:51
更新:21/01/30 23:27
百合

こひま( 新潟県 )

文章を書くこと、絵を描くこと、写真を撮ることが趣味です。
浮かんだものを、浮かんだように書きます。
様々な色を持つ作品を綴れたら、と思っています。
 

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