水琴窟の夢

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 こんな夢を見た。
 私と瑠夏は縁側に腰かけている。
 時刻は夕方近くで、遠くでは蝉の鳴き声が聞こえる。
 私たちは何も言わずに、目の前に広がる小さな日本庭園を眺めていた。
 突然、ポチャン、という音が聞こえた。
「水琴窟でしょうか?」
 瑠夏が反射的に呟く。
 けれど、水琴窟がこの庭にあるなんて私は聞いたことがなかった。
 でも、ポチャン、という涼し気な音は、確かに聞こえている。それも非常に近い。
 まるで、自分の横に水琴窟があるかのようだ。
 そこであることに思い至った私はギョッとして、急いで隣に座っている瑠夏を見た。
 ただ、瑠夏も同じことを考えたようで、私の方へ首を向けている。
 互いの視線がかち合ったなと思った瞬間。
「ポチャン」
 そんな音が、それぞれの口の中から聞こえていることに、私たちは同時に気付いたのだった。
ファンタジー
公開:21/01/30 19:28
夢中探検隊

海棠咲

 幻想小説や怪奇小説を自由気ままに書いています。
 架空の国、マジックリアリズム 、怪談、残酷なファンタジー、不思議な物語が好きです。
 そこに美しい幻想や怪奇があるならば、どんなお話でも書きたいと思います。

 アイコンは宇薙様(https://skima.jp/profile?id=146526)に描いていただきました。

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