カクテル

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「カクテルは“混合酒” 素材の組み合わせの妙を味わえるものなのですよ」ダイヤモンドのようなカクテルグラスがサーブされた。何かを察したようにバーテンダーが微笑んで、カウンターには僕と彼女だけになった。
左隣に座る彼女が空のカクテルグラスを覗き込む。いつもと変わらぬあどけない表情に、ほっとする。「ここ 指輪をかざして?」僕が右手をグラスのボウル下部に添え、彼女も揃いの指輪をした右手を上部にかざす。すると。
「わぁっ…素敵ね」「うん…」初めて見る僕も思わず息を呑む。眩いカクテルグラスに、艶やかなオーロラがたゆたう。両の指輪が繋ぐ神秘的な光をしばらく眺めていると、彼女の左手が僕の左手に重ねられる。
「これではすぐに酔ってしまうわね」
そう言った唇で弧を描く、いつもと異なる装いの彼女が一層綺麗で、僕は見惚れた。リボンにくるまれたもう一つの指輪は、まだ僕のポケットの中だった。彼女はいつも、一枚上手だ。
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公開:21/02/01 01:43
更新:21/02/01 01:46

真月。

ご覧いただき ありがとうございます。
よろしかったら読んでみてください。
作品の絵も自身で描いております。

コメントや☆など とてもありがたく思っております。ありがとうございます。
のほんとしたお話や癒しとなっていただけるようなお話を描けたらと思っております。

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