ホットチョコレート

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不安が降るたび それは色を増した。
気圧が下がるほど 僕は輝きに気づくことがむつかしくなってゆく。ポットの底にこびりついたブラックによって 透明だったそれも瞬時に苦い色に濁ってしまう。それは飲めたものではなかった。降り続ける不安に 苛立ち 怖くなって 焦る。めまいにしゃがみ込んだ。
ポットを投げようとした時 ひとつ 滴がこぼれた。
「それ いただいてもいいかしら?」
滴の方へ顔を上げると 女性がこちらを見ていた。
「えっ」
「ブラックをずっと探していたの」
変なことを言うその女性はカップを二つ 僕の前に置いた。
「こういうものは 呑み込まれては駄目よ」
そうして僕が手渡したブラックのポットを左手に 女性のホワイトのポットを右手に持って傾けた。
「どうぞ」
「いただきます」
ブラックとホワイトがまろやかな色に溶けてゆく。
カップに口をつけると甘さに不安が解けてゆく。
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公開:21/01/31 23:56
更新:21/03/10 01:38

真月。

ご覧いただき ありがとうございます。
よろしかったら読んでみてください。
作品の絵も自身で描いております。

コメントや☆など とてもありがたく思っております。ありがとうございます。
のほんとしたお話や癒しとなっていただけるようなお話を描けたらと思っております。

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