野性のレッサーパンダ現る

　俺は東京でジャーナリストをやっている。
真実を提供するのが俺のモットー。

編集部からの依頼で、絶滅危惧種である野性のレッサーパンダが日本に出たというニュースを提供することになる。俺は取材に走り回るが、正直アライグマの間違いなんじゃ？って思ってる。
レッサーパンダが出たとかいう古い民家に取材に行くと、おばあちゃんが「この子や」と見せてくれたが、どう見てもアライグマだ。
「これアライグマですよ。」
「レッサーパンダやろ？」
俺はレッサーパンダの写真を見せて、説明する。
だが、おばあちゃんの思い込みが強すぎて、何回説明しても分かってくれない。
腹が立ち、害獣駆除料金として1頭2500円で交換してやろうとおばあちゃんから回収すると、そいつが

「僕はレッサーパンダです！信じて下さい！」
と叫んだ。

…なんてことだ。
真実を提供したところで、受け取る側が信じない限りは、意味がない。