天界への旅

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横たわる人々をみて、青年は俯いた。
「何とかならないんですか」
「抑えることはできる。でも罹った人全員を治すのは、そんなことできるのは神様くらい。或いは」
彼の手から丸っこい小さな鳥が、飛んでいく。どこまでも高く飛ぶ鳥は姿が見えなくなった。歪む時空を鳥は超えていき、視界が揺らいだ時には天界に着いていた。
鳥は髪を伸ばした人物の肩に止まり、大人しくしている。
「どこかから迷い込んできたのか」
手紙が付いていたので、彼が読むと、「貴方様の力をお貸しください」と、書かれていた。
「人間の悪戯か」
鳥がここに来れるのを知る人間は、変わった力を持つ者ぐらいだ。
「何を連れ込んでいるのですか」
「旅して来たんだよ。懐いちまったから飼うわ」
「そのような鳥獣を飼うなど。下界では疫病が流行っていると聞きます。もしやその鳥も」
「関係ないな」
「それはまあ、私達は大丈夫ですが。別れが悲しくなりますよ」
ファンタジー
公開:21/01/29 18:34
更新:21/01/30 14:12
「禍の子」と同じ世界観です

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