雲の夢

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 こんな夢を見た。
 私と瑠夏は雲の上を歩いている。
 雲はどこまでも果てしなく続いている。
「一体、この雲はどこまで続いているのでしょうね?」
 瑠夏が首を傾げながら尋ねるけれど、それは私にも分からない。
 一体、誰がこの雲の道を作ったのか、いや、そもそもこれは誰かが作ったものなのだろうか? ただ、自然の産物にしては整い過ぎているようにも見える。雲がこれだけ果てしなく伸びているなんてことがありうるのだろうか? 
 そんなことを考えながら歩いている内に、急に前の方に黒雲の塊が現れた。
 それは大きな扉の形をしていた。取手は積乱雲で作られていて、遠目からでもバチバチと雷光が煌めいているのが分かる。
 扉の奥からは激しい雷鳴が轟いている。
 あの扉を開けて中に入りたくはないなと思った。
 けれど、身体はそんな思考についていかず、私たちはブツブツ言いながら、扉へ向かって雲の道を歩き続けている。
ファンタジー
公開:21/01/29 07:53
夢中探検隊

海棠咲

 幻想小説や怪奇小説を自由気ままに書いています。
 架空の国、マジックリアリズム 、怪談、残酷なファンタジー、不思議な物語が好きです。
 そこに美しい幻想や怪奇があるならば、どんなお話でも書きたいと思います。

 アイコンは宇薙様(https://skima.jp/profile?id=146526)に描いていただきました。

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