僕が君を撒いた日。

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ザザン、ザザン。

荒れる日本海は、重く寂しい雰囲気で僕を迎えた。

ザザン、ザザン。

僕の手には彼女が入った骨壷。
彼女は、もし私が息をすることの無いタンパク質となったならば、どうか海に撒いて欲しいと言った。

ザザン、ザザン。

こんなにも大きく波が上がる、深い青に僕は、彼女を託すのか。
きっと彼女だけじゃ寂しいだろう。
そう思って、僕は途中にあった花屋で白い百合を買ってきた。
涙を目じりに溜め、僕は骨壷をひっくり返した。
荒々しい波が遠くへ彼女を運んでゆく。

ザザン、ザザン。

あぁ、さよなら、愛おしいひと。
僕は君に初めてを貰い、初めてを捧げた。
君のくしゃくしゃな笑顔が恋しいよ。
君が望んだところは、寒くないかい?寂しくないかい?













バシャッ。

ああ、やっぱり寒い。
こんなに冷たいところへ君ひとりでは
行かせられないな。
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公開:21/01/30 15:31

こひま( 新潟県 )

文章を書くこと、絵を描くこと、写真を撮ることが趣味です。
浮かんだものを、浮かんだように書きます。
様々な色を持つ作品を綴れたら、と思っています。
 

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