捏造工場

いきなり任された。大丈夫と言ってしまった。装置のスイッチを入れるとぶーんと音がする。積んである金属片を一つ加工台に載せるとぱちっと固定された。ボタンを押すとのこぎり刃が降りてきてバリバリっと金属片の端を切り落とす。いい感じと、二つ目のボタンを押すと金属片が回り出す。研磨ベルトが金属の端部をガリガリっと磨き、金属片が飛び散る。直径二センチほどの円盤になると三つ目のボタンを押す。型が降りてきてガシッと押した。手にとると金属は刻印されている。貨幣のようだが見たことのない模様。ともかくこの手順で次の金属片を加工台に載せて、同じようにボタンを押しているとまたコインができた。次々とコインがたくさんできた。
監督がやってきた。コインの山を見るとふふんと鼻を鳴らしてその九割ほどを布袋に入れた。残りをつかんで「ほい、今日の給料」と俺に渡すと行ってしまった。コインみたいなもの。どうすればいいのだろうか。