幸福の重み

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湯気を立てて現れた出来立てのエビチャーハン。そこへ、二本のラム肉串が加わる。サービス、と言って添えられた熱々の卵スープ。その隣にはキンキンに冷えたビールが置かれる。

毎週の密かな楽しみである中華屋での夕食。少し薄暗い部屋に、オレンジ色の暖かな照明が優しい影を作っている。

店主の中国人は口数の少ない初老の男だ。中華街を何十年も生き抜いてきた男の目は険しいが、笑った時にできる目尻の皺にはどこか幼さが残っている。

レンゲの凹みにたっぷりのライスを乗せ、徐に口に突っ込む。熱い。開けたまま窄めるという奇妙な形に口を歪めて息を吐き出し、熱を逃す。ぎこちなく咀嚼しながら、レンゲを再びライスで満たす。

飯、エビ、飯、スープ、串、飯、ビール、飯、飯。

栄養を摂取しているのではなく、調理された食物を通して幸福そのものを取り込んでいるような気がしてくる。

食後に出るため息の深さは、幸福の重みなのだ。
その他
公開:21/01/29 23:00
更新:21/01/29 22:47

レオニード貴海( 某海なし県 )

さまようアラフォー主夫

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