橘のやりたいこと

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生きてる意味なんかあんのかよ。

秋の日の裏庭。
花壇の隅で橘は呟いた。
「難しいこと考えてるんだな。」
「橙野は考えないのか、生きてることの意味。」
意味。そう言われても俺は思いつくものがなにもなかった。
「生まれたから生きる、じゃだめなのか。」
「お前の言う生きるって、なにを指してるわけ。やりたいことなんてありません、いける大学に行って、入れる会社に入りますって聞こえる。」
こいつ、こんなに人の気持ちがわかるやつだったっけ。
俺は橘を同じ美化委員から、面白いやつに昇格させた。
「同学年の半数はそう思ってるんじゃない。」
「そうなような気もするし、違うような気もする。」
ぶち、と雑草を抜く橘。
その瞳は焦りに満ちている。
「お前、やりたいことあんの。」
「やりたいっていうか、生きたい。」

「意味が見つけられるくらい生きたい。
俺、病気持ってて来年までしか生きられないらしいんだ。」
青春
公開:21/01/29 21:47

こひま( 新潟県 )

文章を書くこと、絵を描くこと、写真を撮ることが趣味です。
浮かんだものを、浮かんだように書きます。
様々な色を持つ作品を綴れたら、と思っています。
 

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