雲の塔
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雲の塔は、サリールという街の北側に位置している。
文字通り、フワフワとした白い雲で作られたこの塔は、古い記録によれば北暦一二六四年に、この辺りを支配していた豪族によって建てられたそうだ。
この豪族の名はリスティアと言ったが、彼の夢枕にある時、雲の女神ウディーネが現れ、白い雲で塔を建てれば、お前は自分の領土を守ることができるだろうと告げ知らせたのである。
これを真に受けたリスティアは、家臣の止めるのも聞かずにサリールの近くに浮かんでいた雲を片っ端から切り取らせ、実に壮麗な塔を建てさせた。
これが雲の女神ウディーネの神意に適ったのかどうかは定かではないが、実際にリスティアが死ぬまで、彼の領土が侵略されることはなかった。
だが、彼が死んでその息子の代になると、その領土は簡単に隣の豪族に奪われ、一族は皆殺しとなり、今では雲の塔ばかりが遺されることとなったのである。
文字通り、フワフワとした白い雲で作られたこの塔は、古い記録によれば北暦一二六四年に、この辺りを支配していた豪族によって建てられたそうだ。
この豪族の名はリスティアと言ったが、彼の夢枕にある時、雲の女神ウディーネが現れ、白い雲で塔を建てれば、お前は自分の領土を守ることができるだろうと告げ知らせたのである。
これを真に受けたリスティアは、家臣の止めるのも聞かずにサリールの近くに浮かんでいた雲を片っ端から切り取らせ、実に壮麗な塔を建てさせた。
これが雲の女神ウディーネの神意に適ったのかどうかは定かではないが、実際にリスティアが死ぬまで、彼の領土が侵略されることはなかった。
だが、彼が死んでその息子の代になると、その領土は簡単に隣の豪族に奪われ、一族は皆殺しとなり、今では雲の塔ばかりが遺されることとなったのである。
ファンタジー
公開:21/01/28 08:04
アルタージュ国伝承録
幻想小説や怪奇小説を自由気ままに書いています。
架空の国、マジックリアリズム 、怪談、残酷なファンタジー、不思議な物語が好きです。
そこに美しい幻想や怪奇があるならば、どんなお話でも書きたいと思います。
アイコンは宇薙様(https://skima.jp/profile?id=146526)に描いていただきました。
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