個性的なレントゲン

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個性的な男がいた。
ファッションも言動も、趣味嗜好も実に個性的だ。
街中で彼を見かければすぐにわかる。
あまりに個性的な男は血液も個性的だった。
男が献血したところ、見たこともない血液型に献血センターはパニックとなった。
学会はABO型の血液型にnewタイプと言うことで「N型」を急遽追加した。
 生物学者たちは男を検査したがった。
「新人類なんて生易しいもんじゃない、これはダーウィンの進化論を根底から覆す大事件だ!」
世の中の騒ぎを男は軽くあしらった。
「騒がしいのは好きじゃない。血液型が何型だろうと僕は僕さ。」
男はそう言って個性的な前髪をかきあげた。
 なんとか説得してレントゲンを撮らせてもらえることになると、学者たちは固唾を飲んで見守った。
 現像されたレントゲンを調べた結果、男の背骨は金属でできていることがわかった。
学者たちは唸った。
「まさに筋金入りの個性派ですな。」
その他
公開:21/01/27 23:20
更新:21/01/27 23:21

仁科佐和子( 愛知県 )

児童文学、エッセイ、小説などを書き散らかし、公募にいそしんでおります。

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