独白

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「たぶん、無理だ。」

ちょうど1ヶ月前、彼から告げられた言葉。関係を終わらせる一言だった。もうだめなのだ。どう足掻いても、私が彼に選ばれることはない。

どうして彼のことが好きなのだろう。見た目や性格、何かしらの理由があるはずだが、わからない。なぜ惹かれているのかわからないけれど、胸が締め付けられる。彼の隣にいるだけで満たされた気がする。こんな想いは初めてだった。

こんな気持ちなんてどうせ消えるとおもっていた。だが、どうだ。蓋を開けてみれば思い出すのは彼ばかり。思い出すのは彼の顔、身体、そして声。虚しく、苦しい。突き放されてもなお、彼は消えてはくれない。むしろ鮮明に刻みつけられた記憶がこぼれ落ちてくる。

罪深いとは彼を指すのだろう。その罪を背負って私はこの先も生きていく。誰と付き合い、結婚し、死にゆくとしても、その片隅にはきっと、彼と一緒に生きてゆけなかったことを悔やむのだろう。
公開:21/01/27 22:40

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