さいごのおねがい

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病室のベッドに横たわる老婦を3人の老人と1人の若い女が囲んでいた。

「由美子」
枕元の近くにいる老夫が声をかける。
つい先ほどまで意識があった老婦は、穏やかな眠りについていた。持ってあと2日だろう。

その隣に座る老爺は歯を噛み締め、老婦を眺めている。うたた寝をしていたふくよかな老婆が目を覚ました。「ぁうーあー、あーーぅ」

老婆の声にハッとして老夫は言った。
「そろそろ元に戻していただけますか」

若い女がベッドの老婦の頬に触れると、老婦は若返った。
1人ずつ頬に触れて自らがかけた魔法を解いていく。老婆は赤ん坊の姿に戻り、魔女の手でベビーカーに戻された。

老爺は子供の姿に戻ると泣き出した。
「魔女さん、ぼくのいのち、はんぶんあげて」
「それはできないんだよねェ」

元の姿に戻った夫は言う。
「何かお礼を…」

魔女は豪快に笑って言った。
「いいのいいの!ウチら、親切すると若返るから」
その他
公開:21/01/27 20:35

ぱせりん( 中四国 )

北海道出身です。

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