メイジア

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 メイジアという存在は、レヴォール州の各地で語られている。
 一種の川の化物なのだが、その姿は頭が人間、身体の前半分がナメクジ、後ろ半分が鮒、そして体の前半分にのみついている六本の手が狼という姿をしている。
 このメイジアは川の女神ルジアの眷属であると言われており、非常に気味の悪い姿をしているにも関わらず、知恵の守護精霊と考えられて信仰されている場合もある。
 ただ、その習性は至って凶暴であり、川に落ちた家畜や人間を、ナメクジの身体から分泌する粘り気のある毒で中毒死させ、その死体を川の底へ引き込んで食べてしまう。
 メイジアの口には実に鋭い歯が揃っており、骨なども全て食べてしまうため、死体は決して上がらないそうだ。
 時折、人もいないのに川の方からバシャバシャと水音がするのであれば、それはメイジアたちが犠牲者の身体を奪いあっている音なのだと説明する地域は非常に多い。
ファンタジー
公開:21/01/27 20:33
アルタージュ国伝承録

海棠咲

 幻想小説や怪奇小説を自由気ままに書いています。
 架空の国、マジックリアリズム 、怪談、残酷なファンタジー、不思議な物語が好きです。
 そこに美しい幻想や怪奇があるならば、どんなお話でも書きたいと思います。

 アイコンは宇薙様(https://skima.jp/profile?id=146526)に描いていただきました。

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