あし

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揺れるスカートを覗きたいと思ってしまった。
彼女の白く、不健康に細い脚は私だけじゃなく学校中の視線を集める。

モデルやってるんだって、と毎日噂されることに慣れきったその姿はとても気だるげで美しい。
彼女は金曜日の二時間目、体育の時間になるといつも屋上でその風景を眺めている。

「またあんた?体育の単位落としまくってるって聞いたけど。」
「私、体育以外はオール5なのでいいんです。」
「...体育は?」
「2、ですかね。」

重たいレンズの先には彼女とその脚。
どうしたら傷一つなく、そして真っ白に保てるのだろう。

「脚ばっか見て、変態か。」
「そうですねぇ、そうかもしれません。」
「おい。近い。」

しゃがみながら彼女の脚を堪能していれば、勢いよく彼女は離れた。

「はう、私の脚。」
「うるさい脚田。紛らわしい名前だな。」

私の見たい足と、彼女が呼ぶ脚。
私たち以外知らない、あしの話。
青春
公開:21/01/28 23:34
更新:21/01/29 22:12

こひま( 新潟県 )

文章を書くこと、絵を描くこと、写真を撮ることが趣味です。
浮かんだものを、浮かんだように書きます。
様々な色を持つ作品を綴れたら、と思っています。
 

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