テルクの街

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 闇の中にはもう一つの街が広がっているという伝承は、レヴォール州にも数多く存在している。
 その中でも、テルクという街に伝わるものは一風変わっている。
 この街の人々によれば、闇の中にある街こそが本物のテルクの街なのであって、自分たちはその街の人々が見ている夢の中の存在であるに過ぎないというのだ。
 闇の中にあるテルクの街の人々は、その多くが眠っている。なぜならば、そこは現在、夜の世界となっているからだ。
 だが、いつか夜は終わり朝がやって来る。そうすると、人々は目覚めてあるべき生活を始める。
 だが、それはこちら側のテルクの街の終わりを意味しているのだという。
 だから、テルクの街の人々は多かれ少なかれ、心の中で闇を恐れている。
ファンタジー
公開:21/01/28 22:27
アルタージュ国伝承録

海棠咲

 幻想小説や怪奇小説を自由気ままに書いています。
 架空の国、マジックリアリズム 、怪談、残酷なファンタジー、不思議な物語が好きです。
 そこに美しい幻想や怪奇があるならば、どんなお話でも書きたいと思います。

 アイコンは宇薙様(https://skima.jp/profile?id=146526)に描いていただきました。

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