穴の夢

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 こんな夢を見ました。
 辺りには無数の穴が空いています。穴の中を覗くと、微かに光が見えます。
 灯りなのでしょうか、それとも何か別のものなのでしょうか。判然としません。
 薫と手分けして近くの穴をそれぞれ覗いてみるのですが、やはり同じような光が微かに見えます。
「穴の中に入ってみない?」
 薫に言われて私は改めて周りを見回しました。
 不毛の大地に穴ばかりが空いた世界。かつて人が住んでいたのかどうかも分かりません。
 赤茶けた大地は、人やその他の動物たちの血を吸ってこんな色になったのでしょうか? それとも、最初からこの世界には生き物なんていないのでしょうか?
「少なくとも、この世界に留まるよりは面白いかも知れませんね」
「よぉし、決まりだね!」
 薫が私の手を握ったので、私もソッと握り返します。そして、互いに三つ数えると、私たちは微かな光を求めて、手近な穴の中へとダイブしたのでした。
ファンタジー
公開:21/01/28 22:12
夢中探検隊

海棠咲

 幻想小説や怪奇小説を自由気ままに書いています。
 架空の国、マジックリアリズム 、怪談、残酷なファンタジー、不思議な物語が好きです。
 そこに美しい幻想や怪奇があるならば、どんなお話でも書きたいと思います。

 アイコンは宇薙様(https://skima.jp/profile?id=146526)に描いていただきました。

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