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目を合わせて、また俯く。クスクスという笑い声が溢れる。
「先生モテモテ」
昼休み。彼は頭を掻きながら、笑う衛生士達を見返す。
「やめてくれよ、趣味じゃないんだから」
「え、ひどーい」
「そうですよー、お客様ですよ」
「君たち面白がってるだろ」
虫歯はとっくに治っているが、彼女は毎月彼の医院にやってくる。肌に艶があり、実年齢より十歳以上は若く見える。身なりが良く、生活水準は高そうだ。
彼女の親しげに話す姿、彼を見る目には、何か特別なものがあった。
ある日の午後、彼は院の玄関先に呼び出された。助手らに冷やかされながら出ていき、少し話をした。
「もう付き合っちゃえばいいじゃないですか、毎日会えますよ」
僕がさ、と、彼は重々しく口を開く。
「亡くなった息子さんに似てんだと。もう来ないからって。僕はまた来てくださいねって、思わず言っちまったよ」
目を合わせて、また俯く。
笑う声はなく。
「先生モテモテ」
昼休み。彼は頭を掻きながら、笑う衛生士達を見返す。
「やめてくれよ、趣味じゃないんだから」
「え、ひどーい」
「そうですよー、お客様ですよ」
「君たち面白がってるだろ」
虫歯はとっくに治っているが、彼女は毎月彼の医院にやってくる。肌に艶があり、実年齢より十歳以上は若く見える。身なりが良く、生活水準は高そうだ。
彼女の親しげに話す姿、彼を見る目には、何か特別なものがあった。
ある日の午後、彼は院の玄関先に呼び出された。助手らに冷やかされながら出ていき、少し話をした。
「もう付き合っちゃえばいいじゃないですか、毎日会えますよ」
僕がさ、と、彼は重々しく口を開く。
「亡くなった息子さんに似てんだと。もう来ないからって。僕はまた来てくださいねって、思わず言っちまったよ」
目を合わせて、また俯く。
笑う声はなく。
その他
公開:21/01/28 23:00
更新:21/01/28 21:55
更新:21/01/28 21:55
さまようアラフォー主夫
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