304. バラ、バラ

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TVで紹介されとても幻想的だと話題の植物園へとやって来た。
少し重い扉を開けると、極彩色の布がセンスよくランダムに天井から吊り下げられており、室内には暖かく湿潤な空気が流れ大小様々な植物が生き生きとそこに鎮座していた。
まるで別世界──。

壁一面には沢山の種類の薔薇の生花がディスプレイされていた。
「わぁ綺麗!壮観ですねぇ…」
『みんな持ち主に捨てられ行き場を失いここへ来たのです。私たちはそれを新たに主人となる方へと…』
「あっこの薔薇!レインボウになってて特に綺麗!どうやって作…」
私は店員さんの話を遮り、目線の高さにあった花弁にそっと手を伸ばした。
『お客様!薔薇に触れると…』
「あ!」
瞬時にぱらぱらと散っていく薔薇を横目に私の体は千切れ、赤い飛沫が舞った。

『ここの薔薇たちは美し過ぎることを理由に人間に嫉妬されバラバラにされた過去を持っています。折角修繕したのに、因果応報です』
その他
公開:21/01/26 18:00
更新:21/02/08 17:06

ことのは もも。( 日本 関西 )

日本語が好き♡
18歳の頃から時々文章を書いています。
短い物語が好きです。
どれかひとつでも誰かの心に届きます様に☆
感想はいつでもお待ちしています!
宜しくお願い致します。

こちらでは2018年5月から書き始めて、2020年11月の時点で300作になりました。
これからもゆっくりですが、コツコツと書いていこうと思います(*^^*)

2019年 プチコン新生活優秀賞受賞
2020年 DJ MARUKOME読めるカレー大賞特別賞受賞
2021年 ベルモニー縁コンテスト 入選

カントー地方在住
 

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