オシゴト中です!

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ポーン、ポーン

午後五時を報せる時計の音。さっきまで起動していたノートパソコンを閉じて、作成途中の資料もファイルに挟んで、鞄に突っ込む。
「じゃあ、お先に失礼します」
他の人からの声が掛かる前に、さっさと事務所を去った。私には残業なんてしてる暇はないのだ。

「…先輩って、絶対定時で帰りますよね」
「前飲みに誘ったんだけど、『オシゴトがありますので』って断られたんだよなぁ」
「どこまでも仕事人間ってか」
「でも、残業しないのに『オシゴト』って…?」



玄関の鍵を閉め、部屋に向かう。仕事で疲れた身体を、精神を癒す為、私はアプリを開く。

『お帰り、仔猫ちゃん』
「ただいま〜!!」

画面の向こうで推しが微笑んでいる!
推しが私を労ってくれている!
たまらん、これは本当にたまらん!!
軽い気持ちで始めた乙女ゲームに、こんなにハマってしまうなんて。

「これだから推し事はやめられないわ!」
その他
公開:21/01/26 12:47

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