天操坊主

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きっかけは明日の天気だった。
『また雪だって。今年多いね』
「積もると厄介だよな」
10センチで災害の街中と、メートル級の雪国じゃ状況は違うが、大変には変わりない。雪と一緒にストレスも積もり、愚痴っぽくなってた。
『じゃ、良いものあげる』
届いた画像は、懐かしのてるてる坊主だった。
『天操坊主。効きそうでしょ?』
俺もガキの頃、よく作ったな。ありがたくスマホの待ち受けに設定した。

翌日は予報を覆す快晴だった。
「すげえ。さっそく効果あり」
『ほんと?嬉しい』
電話口の無邪気な声が可愛かった。
「そっちは?」
『大雪』
ダメじゃん。笑いながら返そうとして、背景に混じるノイズに気付く。何か軋む様な、ヒビの入る様な音。
「……なぁ。そっち大丈夫?」

鼓膜が破れそうな轟音。
恐る恐る覗いた画面で、真っ白に埋もれた坊主頭が笑ってた。
ここに降るはずの雪がどこに降ったのか、直後のニュースで知った。
ホラー
公開:21/01/27 00:21

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

いつも本当にありがとうございます!

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