岩の塔の夢

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 こんな夢を見ました。
 私たちは巨大な石を積み上げて作られた塔の頂上を目指しています。
 石は危うい均衡を保ちながらどこまでも上に伸びています。
 上を見ても果てしがありませんが、下を見ても、もはや大地がどこにあるのかが判然としませんでした。
「上に行くのも下に行くのも大変じゃん」
 薫はそう言って溜息を吐きます。
 私たちはヒヨコの形をした岩の上に座りながら、どちらに進むかを議論しました。月明かりがそんな私たちを照らしています。
 このままずっと終わらない議論を続けていてもいいかも知れないなと思い始めたころ、上の方からアッという大音声が聞こえました。
 その途端、塔全体がグラグラと揺れたかと思うと、そのままガラガラと音を立てて崩れて行きます。
「誰かがしくじったみたいですねぇ」
 塔の崩壊に巻き込まれながら私はそう呟いていましたが、一体、何にしくじったのかは、よく分かりませんでした。
ファンタジー
公開:21/01/26 21:23
夢中探検隊

海棠咲

 幻想小説や怪奇小説を自由気ままに書いています。
 架空の国、マジックリアリズム 、怪談、残酷なファンタジー、不思議な物語が好きです。
 そこに美しい幻想や怪奇があるならば、どんなお話でも書きたいと思います。

 アイコンは宇薙様(https://skima.jp/profile?id=146526)に描いていただきました。

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