タグ付け

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「遊園地?」「えぇ。恋人とゆくことになったのですが、どうにも怖くって。記憶を見ていただけたらと。」
「うーむ。“ご両親と笑顔で遊園地にゆく記憶”…世間一般には楽しい部類かもしれませんー…」博士は何かに気づいたように身を乗り出した。「これ、タグ付けされていますね。」僕の方を見てから続けた。「ご自分と向き合ってみてください。急いで、無理に、減らすことはありません。時間をかけて。」
帰宅した僕は、過去を行ったり来たり向き合った。塗装が脆くくっ付くように際限なく他の記憶を呼んで来ては、膨大な感情の圧に押し潰されそうだった。渡された表には、『#好きなメリーゴーラウンド』等に混ざって『#他の子は楽しそう』『#ご機嫌取り』『#仕事で忙しくなる前触れ』『#我慢』最後に『#寂しい』とあった。
来週に近づく遊園地のパンフレットが滲んだ。恋人と手を繋ぐその先には、あたたかなタグを付けられるとよいなと感じる。
その他
公開:21/01/25 04:11
更新:21/01/27 18:02

真月。

ご覧いただき ありがとうございます。
よろしかったら読んでみてください。
作品の絵も自身で描いております。

コメントや☆など とてもありがたく思っております。ありがとうございます。
のほんとしたお話や癒しとなっていただけるようなお話を描けたらと思っております。

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