空釣り
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「おじさん、何してるの?」
かつての僕は、屋根に座るおじさんに大声で話しかけた。
「釣りだよ、釣り」
おじさんの手には釣竿が握られていたが、釣り糸は空に向かって伸びていた。
「何が釣れるの?」
「そりゃあ魚に決まってんだろ」
「知らないの?魚は海にいるんだよ」
「水中にしか魚がいないって、誰が決めた?」
とおじさんは言って、空を見上げた。
こういう人が大物になるんだろうなあと僕は何となく思った。
時は過ぎ、僕はもう社会人になってしまった。
職場から帰っていると、空に向かって伸びる釣り糸が見える。
相変わらず今日も釣りか。
結局おじさんは今も変わらない。
何者でもない。
だけど、いつも楽しそうだ。
と、おじさんが立ち上がって何かを叫んだ。
思わず走って近寄ると、おじさんは僕に気づいて言った。
「おい!こっちに来て手伝ってくれ!大物だ!」
よく見ると、釣竿が思い切りしなっていた。
かつての僕は、屋根に座るおじさんに大声で話しかけた。
「釣りだよ、釣り」
おじさんの手には釣竿が握られていたが、釣り糸は空に向かって伸びていた。
「何が釣れるの?」
「そりゃあ魚に決まってんだろ」
「知らないの?魚は海にいるんだよ」
「水中にしか魚がいないって、誰が決めた?」
とおじさんは言って、空を見上げた。
こういう人が大物になるんだろうなあと僕は何となく思った。
時は過ぎ、僕はもう社会人になってしまった。
職場から帰っていると、空に向かって伸びる釣り糸が見える。
相変わらず今日も釣りか。
結局おじさんは今も変わらない。
何者でもない。
だけど、いつも楽しそうだ。
と、おじさんが立ち上がって何かを叫んだ。
思わず走って近寄ると、おじさんは僕に気づいて言った。
「おい!こっちに来て手伝ってくれ!大物だ!」
よく見ると、釣竿が思い切りしなっていた。
公開:21/01/24 21:39
ショートショートに魅入られて自分でも書いてみようと挑戦しています。
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