惚れ惚れ粉

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ついに…一目惚れさせる魔法の粉を手に入れたぞ!
粉をたっぷりかけたドーナツを、真理ちゃんに渡している。
あとは食べた瞬間、俺と目を合わすだけだ。
そのために、ずっと尾行している。
「お腹空いたなぁ…あ、そういえば山田君から貰ったドーナツがあった。食べよっと」
真理ちゃんは鞄からドーナツを取り出し、可愛い口で一口食べた。
「今だ!」
俺は急いで真理ちゃんの元へ向かう。
「やだ、唇に粉がたっぷり付いちゃった」
次は鞄から鏡を取り出し、顔を確認し始めた。
…嫌な予感がする。
「私…すごく可愛い…好き…私大好き、愛してる!」
鏡に写った自分に惚れてしまっている!
惚れさせる作戦は大失敗に終わった。
「くそ…くそ!」
地面に落ちていた真理ちゃんの食べかけのドーナツを口の中へ放り込み、夕日に向かって叫んだ。
「真理ちゃあああん!」
…昔の女のことは、もういい。
俺は、一目惚れした夕日に向かって走った。
青春
公開:21/01/24 20:20

たーくん。( 関西 )

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