情報が見える話

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彼女は他人には見えない物が見えた。
それは妖怪や幽霊などではない。
彼女が見ていたのは、「情報」である。
彼女にはこの世のあらゆる物の情報が、空気中にあるように見えていた。

この世界は、人々はアナログで情報を手に入れ、それを売り買いしていた。彼女もまたその社会の一員であった。
他人と比べ情報が「見える」彼女は、とても商売上手であり、彼女はその能力を誇らしく思っていた。

やがて、ネットワークが誕生した。情報は高速でやり取りされるようになり、人々は「見えない」世界で商売を始めた。

彼女の見る世界は途端に変わっていった。目の前にある情報は高速で書き換えられ、人では処理できないほどの速さとなっていく。

それでも彼女はその速さに追いつくため、酷使し、やがてショートした。

けれど、世界は進化する。その果てに彼女のように空気中で情報を操る時代がやってくる。彼女の存在など、とうに忘れて。
SF
公開:21/01/25 22:55

湖楠*

うみな と読みます。

思い付きで書いたものたち。
出来たら、昼の12時に投稿します。

タイトルは考えずに書いてるので特に意味はないはずです。
タイトル付けるのうまくなりたい。あと作品作りも。

Twitter(生きてないです)
https://twitter.com/m2_asx

ここでも書いてます(エッセイとか)
note
https://note.com/umina1043/
 

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