車窓から

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ある晴れた朝。
電車は市街地を時間通りに走っていた。

車窓の向こうでは今日も爆音が響き、土煙が上がっていた。
爆撃機がミサイルを落とし、多くの人が逃げ惑い血を流している。脚を失った子供が、瓦礫に押し潰された老人が、生きたまま焼かれた妊婦が、何故自分が死ぬのかもわからぬまま、死んでいく。

乗客は皆、耳にイヤフォーンをしスマートフォンに目を落としていた。

<おはー。今日1限から授業( ´Д`)y━まぢ死ぬ〜学校燃えればいいのに〜>

<デイリーミッションコンプリート 爆撃成功!街を占領しました!100ポイント進呈 >

<タレントW不倫謝罪会見 終始保身ばかりの釈明で火に油 大炎上>

一人の少年が立ち上がる。
「お爺さんこちらどうぞ、座って下さい」
「有難う。まだまだこの国の若者も捨てたもんじゃないねえ」

車窓の向こうでは爆音が響き、人々は逃げ惑っている。
とても良く晴れた朝だった。
その他
公開:21/01/25 12:48

小川さら

口下手で面白い事が言えません。
だから書いてみます。

忌憚のないご意見をお待ちしております。
 

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