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頭がぼんやりしている。体を起こそうとするが、まったく力が入らない。
時間をかけてなんとか立ち上がり、キッチンに入る。異様に喉が渇いていた。

調理台の上には皺の寄った薬袋と、説明書。
「冬眠剤?」

僕はすぐに思い出した。

コロナ対策に疲弊した世界人類はワクチンの増産をあきらめ、代わりに冬眠剤を開発したのだった。

冬眠剤を飲んだ人間は冬期の約三ヶ月間眠り続け、飲まず食わずでも生き延びることができる。免疫系はわずかだが働き続けるため、その間に感染を増やすことなく、ウイルスを完全に駆逐できるというものだった。

成功したのだろうか。

テレビの電源を入れると、ニュースキャスターが外国語で話をしていた。日本語の字幕がついているが、何の話なのかわからない。

SNSを調べて、僕はため息を付いた。

冬眠剤を飲んでいたのは日本人だけで、我々が眠っている間にこの国は占領され、消滅していたのだ。
その他
公開:21/01/23 23:00
更新:21/01/23 22:52

レオニード貴海( ほぼ東京 )

小説書きたい症候群に罹患したアラサーITエンジニア兼、二児のダディ。作家志望の人、活字好きな人とゆるーく繋がりたいようなこの頃。

毎日一作目標で書いてます。

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