紅茶と銀河

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 紅茶を飲み干した後にティーカップの底を覗くと、銀河系が生まれていることがある。
 キラキラと光る星はすべて茶葉であり、ブラックホールやホワイトホールは紅茶そのものでできている。
 銀河系に組み込まれた紅茶や茶葉は、どれだけ底を叩いても落ちて来たりはしない。
 指で触れてもコンコンとティーカップの硬質な感触がするだけで、茶葉や紅茶に触れることはできないのだった。
 とするならば、これらの茶葉や紅茶は銀河系に組み込まれるとティーカップの内部に埋め込まれてしまい、そのために触れることができないのかと言えば、そういうわけでもない。
 なぜなら、ティーカップを水で洗えば、銀河系を作り出していた茶葉や紅茶はものの見事に洗い流されてしまうからだ。
 ただまぁ、どんな仕組みになっているのかは分からないが、実害はほとんどないので、放ったままにしている。
ファンタジー
公開:21/01/23 22:36
稀比都市サーガ

海棠咲

 幻想小説や怪奇小説を自由気ままに書いています。
 架空の国、マジックリアリズム 、怪談、残酷なファンタジー、不思議な物語が好きです。
 そこに美しい幻想や怪奇があるならば、どんなお話でも書きたいと思います。

 アイコンは宇薙様(https://skima.jp/profile?id=146526)に描いていただきました。

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