2
3

山には1本の大木があった。その大木を根ごと引っこ抜くとボカッと大きな穴が開いた。穴をのぞくと“ヒュ〜ヒュ〜”と暗い先の見えない底から低い音がした。音は顔をのぞかせた時だけした。子供達が落ちると危ないので大人達は網の蓋をした。好奇心旺盛な子供達は穴に来ては顔をのぞかせ、暗く先の見えない穴底から聞こえる“ヒュ〜ヒュ〜”の音に震えた。
何日かすると、音に飽きた一人の子供が網の蓋の上に乗ってみるという行動に出た。周りの友達達は、「やめろ」とは言っていたが、内心ではワクワクドキドキしていた。網の蓋の端に足をかけ、その子供は一歩ずつ蓋の中心に向かい歩を進めた。穴底からは“ヒュ〜ヒュ〜”と激しく音が聞こえた。中心に来ると嬉しさのあまり、その場でジャンプした。その場所が凹みぐらつき始め、その子供は急いで網の蓋から降りた。と同時に網の蓋は折れ暗い底へ落ちて行った。すると“ゲホッゲホッ”と穴底から聞こえた。
ファンタジー
公開:21/01/23 20:42
更新:21/01/23 23:11

まりたま

いつか絵本を1冊出せたら...
そう思いながら書いてます。
少しだけホッコリしていただければ嬉しいです。
でも、たまにブラックも書きますけど。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容