極楽ゆきだるま

4
3

湿度、気温は最適。とける心配なしで快適すぎるくらいに快適。だけど退屈。
そんなある日、真っ白な世界に銀の壁が現われた。背の高さほどの壁の横には看板。「注意:覚悟して入るべし。いつ戻れるか分からず。」そう言われると逆に気になってしまう。と、目の前に動く道が現われた。(行きたい場所を思うと、こうして道が現われるのだ。だから足がなくても平気。)壁をのりこえ中に入る。実際それは、大きな丸い池をぐるっと囲むような壁で、その床は細かい網の目になっていた。ぼんやりと透けて下が見える。と、大きな手の影が映り、それが左右に分かれ壁をガシッと掴む。ぐらっ。小さなゆれに続き、細かな揺れ。ふるふるとふるわれて、自分が自分でなくなるような感覚。足元から崩れるように身体がどんどん縮んで、細かい粉となって落ちた。
「わー!雪だぁ!」下から声がして、人間の子ども達が見える。頭にはニット帽。色とりどりのポンポンに心が弾む。
公開:21/01/23 20:17
更新:21/01/23 20:49

マーモット( 長野県 )

初投稿は2020/8/17。
SSGで作品を読んだり書いたり読んでもらえたりするのは幸せです。趣味はほっつき歩き&走り(ながらの妄想)。
 

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容