単純作業の夢

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 こんな夢を見ました。
 実に単純な作業です。遠くから運ばれて来る人面瘡から、飛び出たネジを抜いて行くのです。ネジはペンチで掴んでクリクリと抜いてやると簡単に抜けました。
「この作業はどうしてやっているんだろう」
 薫が淡々と作業をこなしながら尋ねます。けれど、その問いに答える人はいません。
 真昼のように明るい工場の上では、人工の天体たちが忙しなく動いています。
 ずっと朝にしたいのでしょう。そんなことをしたって、人が一日二四時間三六五日働きづめていられるわけもないのですが。
 愚かな天体たちの真後ろに、愚かな人々の顔が見えるようです。そこでふと人面瘡の顔を見ると、これが驚くほどの間抜け面。
 ああ、この人面瘡たちは、かつてこの工場と人口天体を作り上げた経営陣なのだなと、私は遅ればせながらに気付きました。
「瑠夏、また闇落ちしてる」
 薫の涼し気な声が、私の背中をヒヤリと撫でました。
ファンタジー
公開:21/01/24 15:43
夢中探検隊

海棠咲

 幻想小説や怪奇小説を自由気ままに書いています。
 架空の国、マジックリアリズム 、怪談、残酷なファンタジー、不思議な物語が好きです。
 そこに美しい幻想や怪奇があるならば、どんなお話でも書きたいと思います。

 アイコンは宇薙様(https://skima.jp/profile?id=146526)に描いていただきました。

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