森の夢

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 こんな夢を見た。
 鬱蒼と生い茂る森の中を私たちは歩いている。
 時折、獣の叫び声が聞こえる。その声は、私たちと一定の距離を保ちつつ、こちらを先導しているようだった。
 森の中には様々なものが転がっていた。動物の骨や金の延べ棒、果ては壊れたオートバイまで。全くこの森とは関係のないものが次から次へと目の前に現れる。
「この森は、夢の廃棄物置き場なのかも知れません」
 そんなことを瑠夏が言う。
「様々な夢で使われなくなった廃材が、この森に投棄されているんです。さっきから聞こえている獣の声だって、もしかすると……」
 そこで瑠夏の声は止まった。急に森が開けたからだ。
 私たちは広々とした平原に出ていた。
 その平原の中央では、巨大な狼がお座りをしていた。
 狼は私たちを見ると人のようにハハッと笑い、そのままクルッと背を向けると、自動車やパンや牛の大群をばら撒きながら、平原の奥へと走って行った。
ファンタジー
公開:21/01/24 15:13
夢中探検隊

海棠咲

 幻想小説や怪奇小説を自由気ままに書いています。
 架空の国、マジックリアリズム 、怪談、残酷なファンタジー、不思議な物語が好きです。
 そこに美しい幻想や怪奇があるならば、どんなお話でも書きたいと思います。

 アイコンは宇薙様(https://skima.jp/profile?id=146526)に描いていただきました。

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