廃墟の夢

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 こんな夢を見ました。
 私たちはボロボロの洋館の一室にある破れた窓から外を眺めています。
 元々、そこには街があったのでしょう。けれど、今は煉瓦の残骸しか見えません。
 もう何年、いや何十年もこの状態が続いているのでしょうか。昨日今日でこのような形になったようには思えませんでした。
「よく見れば、煉瓦に草が生えてるね。それくらい、ここから人が居なくなって久しいのかも知れないよ」
「小さな世界の終わった後を私たちは訪れてしまったのでしょうね」
 何とも物寂しい光景に、私は身体を震わせました。薫はそんな私を慮ってか、なぜかTシャツを脱ぎ脱ぎして私に着せようとするので、慌ててそれを押し留めました。
 下着姿の薫を見ていた方が、寒くなってしまいます。
 そんなことを言っていると、背後のドアがドンドンと叩かれました。
 驚いて振り返りましたが、どれだけ待ってみても、扉が開くことはありませんでした。
ファンタジー
公開:21/01/24 15:10
夢中探検隊

海棠咲

 幻想小説や怪奇小説を自由気ままに書いています。
 架空の国、マジックリアリズム 、怪談、残酷なファンタジー、不思議な物語が好きです。
 そこに美しい幻想や怪奇があるならば、どんなお話でも書きたいと思います。

 アイコンは宇薙様(https://skima.jp/profile?id=146526)に描いていただきました。

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