クールジャパン

「世界が認めたカルチャーなんです！」

　と、その安っぽい首相は、薄っぺらい笑みを浮かべながら語る。



　ほんの少し前までは、「アニメや漫画なんか読むのは、ダメなことに決まっている」「ゲームなんか時間の無駄だ」と、大人たちは言っていたものだ。



　そんな風に言われ続けて育てられた結果、本来持っているクリエイティブな才能が芽も出ぬまま、誰でもできる一般的な仕事に就き、一生を終えた人も多いことだろうに。



　ポップカルチャーが世界を席巻した今、アニメもゲームも普遍的な価値を持つようになった。その途端に、もてはやされるようになったのである。



　──「それにしても、彼らのことを俺達がイジってるってのは理解できてるのかね？」「黄色い肌の連中に、そんなのわかるわけないだろう」「それもそうだな」

　と、白い肌の連中はゲームをしながら、ゲラゲラと笑った。