AI裁判官の判決。

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 ありとあらゆる業界に本格的なAIが導入されて効率化が進み、数十年が経過していた。その領域は拡大の一途を辿り、「裁判官」もAIが担うようになっていたのだ。刑事も弁護士も、この時代はAIが取り仕切っているといっても過言では無かった。



「判決は有罪。過去の事例に則り、判決を下します」とモニターに映る擬人化された裁判官が無表情に告げる。判決内容には全くブレが無く、容疑者はうなだれる。いくら喚こうとも無駄であることを熟知しているからだ。



 ──容疑者の罪は、こうして裁かれた。AIは間違いを犯すことはなく、斟酌をすることも無い。



 一番非効率な「最後の人間」の、最後の審判は下った。人間の居場所は、既に無くなっていたが、これで完全に閉ざされたのだ。
SF
公開:21/01/24 01:59

comsick( 京都 )

星新一が大好きな、ディレクター&ライター。仕事では主に経済を扱っていますが、創作では色々挑戦してみたいなって、思ってます。

※メインの媒体は「カクヨム」です。
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