節約生活

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ある男がいた。
市役所に勤める地方公務員だった。
趣味はなく、休みの日はただぼーっと過ごしていた。
夢や目標というものがなく、毎日がつまらなく感じていた。
ある日何気なく銀行の通帳を見た。267万円あった。
あまり金を使う事がない為けっこう貯まっていた。
ふと、(1千万円貯めてみるか?)と思った。
何も目標がないよりはいい。
次の日からさっそく、朝早起きしておにぎりを作り市役所に持って行った。
いくらかでも食費を浮かせる為だ。
夜も自炊し節約した。
髪も自分で切った。風呂も入らずタオルで体を拭くだけにして水道代を浮かせた。
電車で通っていたのも自転車通勤にかえた。
生活に張りがでてきた。男はますます
節約生活にのめり込んだ。時には断食してまで食費を削った。
そうして8年後、ついに貯金が念願の一千万円に達した。
次の朝男は布団の中で冷たくなっていた。栄養失調による衰弱死であった。
その他
公開:21/01/22 13:35

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