きらきらひかる

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保健室のベットでわたしは溜息をついた。子どもでも大人でもあって、きっとこのまま何者にもなれないと悟ったのだ。
「ゆっくり休んでね。私職員室行ってくるから」
カーテンの隙間から養護教諭の先生が声をかけてくれた。わたしの仮病は見つからなかったらしい。
1限が始まり、体育の生徒が校庭に寄り集まってきた。それをぼんやりと見つめて過ごす。
1限が終われば、わたしのクラスの生徒がクラスメイトの噂を話しにくるだろう。そこでわたしの名前がでることはない。

靴を履かないで靴下も脱いで、そのまま保健室をでた。
裸足で廊下を走って外を目指すと、明かりが差してくるのが見えた。きらきらしていて、ひかっていた。
青春
公開:21/01/22 10:48
更新:21/01/22 12:05

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