惚れ薬

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 お鍋に砂糖と適量の水、それに私の甘い溜息を入れて温めると、ピンク色の煙を出す砂糖水ができあがる。
 これに惚れ薬の効果があるらしいと気付いたのは、小学校以来の友達と高校の頃、ふざけてこの砂糖水を一緒に飲んだから。
 以来、私たちは相思相愛の仲で、今でも一緒に暮らしている。
 喧嘩をすることもあるけれど、破局に至っていないのは、やはりこの謎の惚れ薬効果のある砂糖水のお陰なのかも知れない。
 そう思い、大学を卒業してから市内のアパートを借りて惚れ薬屋を始めた。
 すると、意外なほどに客が来るようになった。
 特に客が多いのがクリスマスとバレンタインだ。
 この二つの日だけは、てんやわんやで惚れ薬を支度して、一日仕事で売り捌くことになる。
 まぁ、原料は砂糖と水と私の甘い溜息なので安上がりなのだけれど、流石に疲れるので、途中でパートナーによしよしして貰いながら、何とか毎年乗り切っている。
ファンタジー
公開:21/01/22 07:47
稀比都市サーガ

海棠咲

 幻想小説や怪奇小説を自由気ままに書いています。
 架空の国、マジックリアリズム 、怪談、残酷なファンタジー、不思議な物語が好きです。
 そこに美しい幻想や怪奇があるならば、どんなお話でも書きたいと思います。

 アイコンは宇薙様(https://skima.jp/profile?id=146526)に描いていただきました。

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