夢への執念

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 彼はどうしても有名人になりたかった。
それこそが彼にとっての生きる意味であり夢だった。有名人になれれば何でも良かった。
 先ずは役者を目指した。しかし、下積みに耐えられなかった。次に音楽家を目指した。しかし、音楽の才能が無かった。次に小説家を目指した。なかなか結果が出なかったが、粘り強く頑張った。しかし、還暦を迎えても彼が小説家として有名になることはなかった。
 仕方がないので彼はテロリストとして有名になることにした。爆弾を作り、準備を進めた。しかし、それは何かが違う気がしてやめた。
 月日は流れた。その後も彼は有名人になる方法を模索する日々を送った。決して諦めなかった。年老いてもその情熱を燃やし続けた。その結果、彼は長生きした。世界最高齢になり、ギネス記録保持者になった。そしてその記録を更新し続けた。
「情熱を持ち続ければ夢は叶う」
 最期に彼は幸せそうにそう言って死んだ。
その他
公開:21/01/23 09:44
更新:21/03/02 11:23
執念

独白世人( 日本 )

ポップでシュールな短編小説を書いています。
https://kakuyomu.jp/users/dokuhaku_sejin

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