無邪気な電話

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「何だぁ、まだ起きていたのぉ」
いつもの決まり文句で会話は始まる。
こんな時間に電話してきたのはお前のほうだ。
が、全く屈託のないのもいつもの事だ。
他愛ない話だが聞き流しているだけでリサは満足だ。
同時に聞いている私もなぜか癒されているのも事実である。
「それでね、それでね」
話は続く。
私は
「うん」「そうだね」「良いんじゃない」の相槌を打つだけでよい。
しばらくして
「じゃあ、おやすみー」
と電話は切れる。
時間にして7分。
きっちり7分で終わるところが不思議だ。
かかってくるのは月曜日から金曜日23時から24時の間。
それ以外に時間帯にはかかってこない。
もう一つの特徴は決して悪口や愚痴を言わないことだ。
起きたことを素直に話していて、感想を言う時は必ず前向きな言葉で締めくくる。
こういう人間が世知辛いこの時期にいるのかと思う。
私はリサの顔もフルネームも知らない。
その他
公開:21/01/24 09:00

フミさん

時間がある時に書き散らしたものを備忘録的に上げています。
乱文にも拘らずコメントをいただいた方々ありがとうございます。
たまにしかアクセスしないので、コメントを読めない事が多々ありますので予めご了承ください。

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