獅子舞

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 朝、お雑煮を食べていると、お囃子の音が聞こえて来た。
 おや、どこからだろうと思い、窓を開けてベランダに出ると、意外と近くで音がする。
 お囃子なんて子どものころ以来だなと思いながら、寒いけれど心地よい風に吹かれて外を眺めていると、急に右の方から獅子舞とお囃子を奏でる人々の姿が現れた。
 獅子舞は私と目が合うと、パカァッと口を開けてみせる。
 途端に、獅子舞の中にいるのであろう子ども達の歓声が上がった。
 獅子舞はそのままベランダの左側へと消えて行き、その後ろを青い法被を着たお囃子連が続く。
 私は身じろぎもせずに目の前の光景を見ていたが、最後尾の法被を着た青年が視界から消えると、急いでベランダから顔を覗かせた。
 私がいるのは八階だから、もちろん地面なんてベランダの外側にはない。
 左右を見回すが、すでに獅子舞やお囃子連の姿は見えず、私は戸惑いながらも部屋の中へと入るほかはなかった。
ファンタジー
公開:21/01/21 21:49
稀比都市サーガ

海棠咲

 幻想小説や怪奇小説を自由気ままに書いています。
 架空の国、マジックリアリズム 、怪談、残酷なファンタジー、不思議な物語が好きです。
 そこに美しい幻想や怪奇があるならば、どんなお話でも書きたいと思います。

 アイコンは宇薙様(https://skima.jp/profile?id=146526)に描いていただきました。

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