留守番の条件

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参勤交代で江戸に出向く主に同行すべく、私もまた準備を整えていた。
奉行所勤めの私は留守が心配でならない。残された者達は私抜きでやっていけるだろうか?
この仕事は私が主軸である。そんな私がいなくなって、廃れやしないか…暴動が起きやしないかと気が気でならない。
「心配しなくても大丈夫ですよ、鍋奉行様。肉がいなくても我々はやっていけます」
しかし鍋物で肉は必需品である。牛肉豚肉鶏肉は勿論、魚肉だって肉。肉たる私がいなくてそれは鍋足り得るか?
「キノコ鍋。それにおでんだって立派な鍋です。大丈夫、我々は健康的に鍋奉行様の留守を務めさせていただきます」
そう言われると留守番の条件は満たしているように思える…分かった。お前達を信じよう。

そうして江戸に出向いた1年後、私は主と共に領地へと戻ってきた。
この1年で鍋の主役はすっかり山菜に奪われていた。
その光景にぐつぐつと私の心が煮えたぎる。憎々しい…
公開:21/01/21 19:31

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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