生意気な花火

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花火を見ると癒される。
花火大会の大輪を見て腹のそこまで響く音を受けて爽快になる人もいるだろう。
自宅の庭でバケツを傍らに小さな火花がパチパチ弾けるのを見て頬を緩ます人もいるだろう。
あれはまだ小学校の低学年だった頃だろうか。
毎年恒例のお盆時期、祖父の家に行ったある年のことだ。
わがままし放題の挙句、不機嫌になった私は寝室として使わせてもらっていた部屋に篭った。
「おーい、花火だぞー」
と呼ぶ祖父に
「行かないっ」
と答えた。
「なくなっちゃうぞー」
「やらないっ」
しばらくすると花火の弾ける音と妹のはしゃぐ声が聞こえ、火薬の燃えた匂いが漂ってきた。
タオルケットを被った私はとても残念で寂しい思いがした。
何であの時に出て行かなかったのか、あんなに楽しみにしていた花火を素直にしなかったのか。
祖父の3回忌を迎えた今日、突然思い出した事だった。
その他
公開:21/01/25 09:00

フミさん

時間がある時に書き散らしたものを備忘録的に上げています。
乱文にも拘らずコメントをいただいた方々ありがとうございます。
たまにしかアクセスしないので、コメントを読めない事が多々ありますので予めご了承ください。

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