金のなる木

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「どれどれ。今日はどのくらいなっているかな」
私の庭には、金のなる木があった。
といっても、大した額ではない。
バーに行って、ワイン一杯飲める程度だった。
ふと見ると、金がなにかに食われた跡があった。
「はて、鳥にでも食われたかな」
事実、金は鳥に食われていた。
そして、その鳥はどこか遠くへ飛び、そこでフンを落とし、その落ちた場所にまた、金のなる木が育った。
それを見つけた人間たちは、その木が誰の所有物なのか争い始めた。
裁判も起こり、ところどころで紛争も起きた。
その間にも、鳥は金を食べ、フンを落とし、木が育ち、人が争う。
いつの間にか、金のなる木を巡って、世界は全面戦争に突入していた。
今日も私の庭の木や他の多くの金のなる木は、大したことのない額を実らせている。
公開:21/01/19 20:21

ふじのん

大学生

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