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スーパーで買った魚の刺身に醤油をつけて食べた。
「刺身うまっ」
もう一切れ食べようとすると、刺身が怒鳴った。
「お前、醤油つけて食べるな」
「は?」
「漁師に捕まったのは俺のミスだ。大人しく食べられることは認めよう。だがしかし、お前たち人間は刺身がうまいと言いながら、うまいと感じているのは醤油の方だ。刺身を引き立てるための醤油が、醤油を引き立てるための刺身になっている。許せん!」
俺は笑った。
喚く刺身を箸で掴むと醤油の中で二転三転。
「やめろ!」
そして一気に口にいれ、美味しそうに言った。
「醤油うめぇ!」
食道の中を刺身が怒声を上げながら落ちていった。
百年後。
魚に転生した俺は、人間に転生した魚に見下ろされていた。
かつて魚だった人間は醤油を準備する。
「よぉ、久しぶりだな」
「刺身うまっ」
もう一切れ食べようとすると、刺身が怒鳴った。
「お前、醤油つけて食べるな」
「は?」
「漁師に捕まったのは俺のミスだ。大人しく食べられることは認めよう。だがしかし、お前たち人間は刺身がうまいと言いながら、うまいと感じているのは醤油の方だ。刺身を引き立てるための醤油が、醤油を引き立てるための刺身になっている。許せん!」
俺は笑った。
喚く刺身を箸で掴むと醤油の中で二転三転。
「やめろ!」
そして一気に口にいれ、美味しそうに言った。
「醤油うめぇ!」
食道の中を刺身が怒声を上げながら落ちていった。
百年後。
魚に転生した俺は、人間に転生した魚に見下ろされていた。
かつて魚だった人間は醤油を準備する。
「よぉ、久しぶりだな」
ホラー
公開:21/01/19 18:34
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